公正証書遺言のススメ 弁護士・黒根より
今日のブログは相続カフェに参加して頂いている
弁護士・黒根先生から「公正証書遺言のススメ」について書いて頂きました。
遺言書はお父さん、お母さんに聞くと「ちゃんと書いたから!」と
いわれて安心していても、実際蓋を開けてみると「遺言書もどき(=手続きには使えないもの)」
ということがあります。注意したいところですね。
それでは黒根先生どうぞ!
公正証書遺言というと、そのような物を書くのは少し大げさだとか、
自分には関係ないとか、自分にはまだ早いと思う方が多いと思います。
しかし、そう思っているうちに、最後まで相続人に遺産のことを話さず、
相続人が遺産を全て把握できずに、持っていた権利が時効で消滅してしまったり、
遺産の一部が知らず知らずのうちに他人の手に渡ってしまったり、数年後に
遺産の存在が判明するような場合も少なくありません。
また、遺言がない、もしくは中途半端な自筆の遺言を作ったために、
相続人同士で揉めるといったことも、よくある話です。
きちんとした遺言を残しておかなければ、あなたの死をきっかけに、
仲が良かったご子息達が、骨肉の争いを始めることになりかねません。
また、せっかく残した資産や会社が、あなたの意思に反する形で
使われてしまうことになりかねません。金額が多かろうが少なかろうが、
遺産は、あなたが人生の中で頑張って築き上げたものですので、
あなたがお亡くなりになった後の遺産の帰趨は、あなた自身が決める権利があるのです。
公正証書で遺言を残しておくことにより、あなたの気持ちを相続人に伝えることができ、
相続人があなたの遺産をきちんと把握できますし、また、相続に伴う諸手続きについて、
自筆の遺言よりも円滑に進めることができます。高齢になって、体が言うことをきかなくなったり、
施設に入所したり、病気で入院することになってしまってからでは、公正証書遺言を作るのは一苦労です。
元気なうちにこそ、準備をしておきましょう。
遺言を作成した後、気が変わった場合には、新たな遺言を作成して、以前の内容を撤回したり
変更することができます。ですので、作ってしまったら一度きりのものではなく、
アップデートが可能です。40歳、50歳、60歳、70歳、80歳と、
人生の節目ごとに遺言を作っておくのも良いかもしれません。
最近は、40歳代でも遺言を作成される方が多いように感じます。遺言を作成してみて、
改めて生と向き合えたというご意見もよく聞きます。備え有れば憂い無しです。
安心した気持ちで日々を過ごせるよう、一度遺言を作ってみてはいかがでしょうか。